ソムヨットさん

2017年3月のある日、妻ゆうこさん から、お誘いがありました。

 「横浜に行かない?」

 あれ? 2週間ほど前に、娘と二人で、横浜に行ってきたばかりの ゆうこさんが、
 また、横浜?

そんな疑問を持って、聞いてみると、

 「横浜の、滝本さんの うさと展に、
  うさぶろうさんと、ソムヨットさんが いらっしゃるんだって。
  どうも、行ったほうがいい気がするの」

うさと展コーディネーターの、「ふるさと工房」滝本久美子さんから、
横浜馬車道での、うさと展のご案内を、ゆうこさんが メールでいただいて、

それを読んだ瞬間に、
「とにかく、行ったほうがいい」と、感じたのだとのこと。

ゆうこさんの、そういう直感は、
これまでにも、
何らかの意味があったり、何らかの展開を もたらしてくれました。

そう、誘われれば、断る理由はありません ^^ 。

2017年3月19日、
二人で、横浜に伺いました。

 
うさぶろうさんに、はじめてお会いして、約半年
(前記事「 初対面 」)。
また、お目にかかれる機会が やってきました。

ゆうこさんにとっては、
今回が、はじめての、うさぶろうさんへの ご挨拶です。

 
そして、今回は、
なんと、ソムヨットさんに、お会いできます!

タイ・チェンマイの、うさとの拠点で、
うさぶろうさんと一緒に、うさとを 支えている方です。

どんな方なのか、お会いしてみたいと 思っていました。

胸膨らませて、横浜へ向かいました。

 
会場につくと、
すでに、多くのお客様とともに、
うさぶろうさんも、ソムヨットさんも、お見えでした。

うさぶろうさんは、
いつものごとく、お客様に、コーディネートのアドバイス。

お客様も、嬉しそうに、薦められる服を着たり、
また、好みを伝えて、更なるアドバイスを求めたりしています。

ゆうこさんも、
めでたく、うさぶろうさんに、ご挨拶ができた後、

着て来た服を、より上手に着る方法を、
丁寧に着させていただきながら、教えていただきました。

 
服を触り、扱う、うさぶろうさんの様子は、
とても柔らかで、丁寧で、優しく、
改めて、感心するとともに、感激しました。

その後、僕も、改めて、ご挨拶ができ、
そして、3人での写真も、撮っていただくことができました。

 
 
さて、一方、ソムヨットさんですが、
とても印象的だったのが、

お客様みなさんが、服を手に取り、試着される様子を、
とても楽しそうに、かつ、興味深そうに、ご覧になっていたこと、

そして、
何度も、会場の、服のディスプレイを、手直しされていたこと、
です。

 
普段、生産の現場にいらっしゃる為、
お客様が、服と接する機会を目にすることを、
とても楽しまれているのでは、と、認識しました。

また、ディスプレイの件は、
根っからのアーティストなのだと、感じました。

細かく、何度も、手直しされては、
満足そうに、楽しそうに、微笑んでいらっしゃいました。

 
その、美しくディスプレイされた様子は、
主催者の滝本さんも、写真に収めておいででした。

 
 
ところで、写真のとおり、
滝本さんは、その日も、「白絣(しろがすり)」を、着ておいででした。

僕が、うさとの服に出会ってから、はじめの3年近くは、
「絣」の服に、まったく出会うことができませんでした。

ところが、長年、うさとの服を着ている方に出会うと、
たいてい、みなさん、とっても素敵な絣を、着ていらっしゃるのです。

僕も、ぜひ着たいとの想いが、募っていきました。

でも、まったく、出会うことができません。

作るのにとても手間のかかる「絣」は、
どうやら、今、作られていない、との情報でした。

そう聞くと、
想いは、より一層、募っていました。

 
それが。
昨年に入ってから、急に、
絣の服が、うさと展に出るようになってきました。

そして、僕も、ようやく、
とっても素敵な絣を、手に入れることができたところでした。

でも、それが、
「在庫」としてあったものが出ているのか、
それとも、新たに作られるようになったのか、
分かりませんでした。

また、その状況でも、なお、
「白絣」の服には、まだ、出会えていませんでした。

「絣」よりも、さらに遥かに手間のかかる「白絣」ですが、
そんな製作事情を知らないときから、
素晴らしく素敵に、感じていました。

そんな「白絣」に、今後、果たして出会えるのか、
知りたいと思っていました。

それらのことを、
ソムヨットさんに、直接、お聞きすることにしました。

(「絣」「白絣」については、
 うさとのブログ記事「 絣(かすり)の話 」を、ぜひ、ご覧ください)

 
僕の、「絣」「白絣」についての質問に、
ソムヨットさんは、笑顔で、丁寧に、答えてくれました。

絣は、それまでの、タイではなく、
ラオスで、新たに、作られているそうです。

先ほどの、ソムヨットさんのディスプレイの写真にも、
絣の服が、2枚も、映っていますが、
しかも、けっこう手の込んだ柄ものですが、

最近は、さらに手の込んだ、複雑な柄の絣が、
たくさん、出てきていますよね。

そう、お聞きできて、
とても嬉しく思いました。

ただ、「白絣」については、
やはり、さらに手間がかかるので、
今のところ、作られる見込みは無いとのことでした。

 
そして、もう一つ、
常々、疑問に思っていたことを、お聞きしました。

僕は、シルクも大好きで、
その日も、赤のシルクのジャケットを、着て行ってたのですが、

シルクに関しては、紫を含めて赤系のものが多く、
また、その他にも、黄色や、黒・茶系のものなどを、見受けるのですが、

青・藍のものを、目にしたことがありません。

服については、藍染のものは(先の絣も含めて)多くあるのに、
なぜ、シルクには、青・藍が無いのか、

あれば、コーディネート上、とっても重宝するであろうから、
とても欲しいと思っていたので、

そのことを、お聞きしました。

 
お答えとしては、
やはり、藍染めのシルクは、うさと服には、無くて、

それは、
タイやラオスの文化では、シルクを藍染めしないから、
というか、うまくできないから、
とのことでした。

日本では、絹を藍染めするときには、
まず、呉汁(大豆のつぶし汁や煮汁)で、一度煮て、
その下処理の後、染めていて、

そうすることで、ようやく、
しっかりと、染めることができるのだそうです。

ところが、タイ・ラオスには、
その、大豆液で前処理をする文化が無いから、
上手く(濃く)染めることができず、
なので、作っていないのだ、
との、ことでした。

疑問に思っていたことの答えを知ることができ、
とてもスッキリしました。

 
さて、
それらの、質問に対する答えをお聞きしていて、
思ったこと、感じたことが、いくつかありました。

 
まず、
僕の質問に対して、
ソムヨットさんが、
とても丁寧に、かつ、とても楽しそうに、
お答えしてくださったことです。

服のこと、うさとのことが、
心底お好きなんだなあと、感じました。

 
それから、
シルクの藍染めに関してですが、

まず、ソムヨットさんが、
日本での、絹の染め、藍染めについて、ご存知あること、
そのことに、さすがだと思いました。

どうやら、日本に留学経験があり、
日本の伝統的な手仕事などには、かなり造詣が深いようです。

 
そして、何より、
その、シルクの、藍での染め方をご存知なのに、
その染めを、タイやラオスの生産者に、要求しないこと、
そのことを確認でき、そのことに感銘しました。

ソムヨットさんが、生産者の方々に、要求・要望しないことは、
うさぶろうさんの本を通しても、知っていましたし、

それだけでなく、
うさとそのものが、生産者の方々に、
なにかを要望したり、期日も設けたりしないと、聞いていますが、

その事実を、
改めて、確認できる出来事でした。

 
なので、
先の、白絣に関しても、
ソムヨットさんに、ぜひ、作っていただきたいと、
僕は、要望してしまったのですが ^^; 、

ですが、まず間違いなく、
ソムヨットさんは、生産者の方々に、そうすることはないでしょう。

白絣に関しても、藍のシルクに関しても、
期待せずに、待つしかないのだと、
その日、そう、悟りました。

 
さて、この話、
いつもながら、続きがあります。

 「藍のシルクは、うさとには、無い」
そう、おっしゃった はなから、

 「でも、ちょうど、うさぶろうさんが、今日、
  藍染めのシルクのマフラーを、して来ているはずだよ。
  ねぇ、あのマフラー、どこ? 見せて」
と、
ソムヨットさんが、うさぶろうさんに、話しかけます。

それを聞いて、
うさぶろうさんが、鞄の中から、シルクのマフラーを取り出し、
そして、それを僕に渡してくださいました。

たしかに、藍染めでした!

詳しい話は、失念してしまったのですが、
たしか、試作品のようなもので、
うさとの商品としては、出る見込みの無い、一点ものなのだとのこと。

たしかに、
サイズこそ、普通のうさとのシルクマフラーよりも、小さめでしたが、

でも、色は、かなりしっかりと、深めに、染まっていて、
織りも、きちんと、うさとクオリティーでした
(このページの写真の、うさぶろうさんの首元を、ご覧になってみてください)。

その日、話題に上ったものが、
しかも、「それは、無い」と言ったものが、
そこに在る、という『偶然』 …

さすが、いつもながらの、うさとマジックと、笑いました。

そんな流れから、みな、笑顔あふれる表情での写真を、
記念に、撮らせていただきました。

 
 
続きを、もう一つ。

この写真を撮った後、
ソムヨットさんのほうから、僕に近づいて来てくれて、
改めて、握手をしてくださいました、

顔には、満面の笑みをたたえて。

ソムヨットさんの、優しいお人柄を、
見ることができました。

ただ、その、ソムヨットさんの行動は、
僕には、想定外で、
しかも、突然で、勢いがあっため、

僕は、右手で受け取った、先の写真を撮ってもらったスマホを、
慌てて、左手に持ち替え、
そして、握手をしていただいたのですが、

その際、慌てていたために、
写真アプリのままのスマホの画面に、指が触れてしまい、
写真が2枚、偶然に、撮れてしまいました。

 
そのうちの1枚が、下の写真です。

 
ソムヨットさん、素晴らしい笑顔ですよね ^^ 。

見るたびに、
ソムヨットさんとの出会い・会話を思い返し、そして、温かい気持ちになる、
かけがえのない、記念の写真となっています。

こんな写真が、意図せず、『偶然』に、撮れてしまう …

これも、うさとマジック、ですかね ^^ 。
 

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